造り手紹介: KABAJ (カバイ)

 

スロヴェニアのワイナリーKABAJが注目される理由の一つは、フランス出身のワイン職人、ジャン・ミッシェル・モレルの存在です。ボルドー生まれのジャンは、若い頃からワイン造りに携わり、ボルドー、イタリア、ジョージアで修行を積みました。

 

 

その後、スロヴェニア人のカティヤと結婚し、イタリアとの国境近くにあるスロヴェニアのゴリシュカ・ブルダに定住しました。彼のユニークなキャラクターと豊富な知識は、人々を魅了する一方で時に遠ざけることもありますが、特に彼を理解する韓国人インポーターのフィリッポとは強い信頼関係を築いています。「破壊と創造のジャン・ミッシェル・モレル」として知られ、スロヴェニア全土で彼の名を知らない人はいません。

 

ジャンは、単にワインを造るだけでなく、そのプロセスにおいても妥協を許しません。彼はKABAJ家の歴史と自然を尊重しながら、常に最高のワインを追求しています。ぶどうは自然の産物であり、年ごとにその品質や収量が異なることは避けられませんが、ジャンはそれを言い訳にしません。彼は、ヴィンテージによる品質のばらつきを極力抑えるため、徹底した技術と注意深い管理を行い、試飲なしでも安心して購入できるほど品質が安定しています。この安定性の裏には、想像を超える細心のケアと深い愛情が注がれています。

 

特に彼が影響を受けたのは、ジョージアワインの伝統的な手法です。ジャンはジョージアからクヴェヴリ(アンフォラ)を取り寄せ、自らのカーヴに埋めて使用しています。彼はアンフォラを使うワイナリー25社から成る『XELOBA KARTULI協会』のメンバーでもあり、古代のワイン造りの技術を現代に復活させることに情熱を注いでいます。この手法で造られる白ワインは、赤ワインのように果皮ごと発酵させた「オレンジワイン」と呼ばれ、スロヴェニアでは「After old wine」として知られています。これは、過去のワイン造りの伝統を未来に繋ぐ挑戦を象徴しています。

 

 

KABAJワインの特徴は、その土壌のテロワールやぶどうの品質だけでなく、ジャン自身の個性が色濃く反映されている点にあります。彼は「自分が手掛けたワインは、他の誰よりも自分が最も愛さなければならない」と語り、その信念がワイン造りにおける細部へのこだわりに表れています。KABAJワインを知るためには、実際にワインを飲むことが最も良い方法であり、ジャンの情熱と哲学が詰まった一杯を通じて、彼の世界を感じることができるでしょう。

 

 

 

 

 

 

 

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